iPhoneが水没!正しい乾かし方と3つのNG行動|データ復旧のプロが解説

iPhoneを水没させてしまった経験はありますか?お風呂場での使用中に誤って落としてしまったり、雨の日にポケットから取り出したときに水たまりに落としてしまったり…。

水没は、iPhoneユーザーにとって最も恐ろしいトラブルの一つです。

当店でも水没修理のご相談は非常に多く、「iPhoneが水没して充電できなくなった」「画面が真っ暗になった」というお客様がよくご来店されます。

水没したiPhoneは、適切な対処をすれば復活する可能性がありますが、誤った対応をすると取り返しのつかない故障につながることも。

この記事では、iPhoneが水没したときの正しい対処法と、絶対にやってはいけないNG行動について詳しく解説します。

大切なデータを失わないためにも、万が一の水没時には冷静に対応しましょう。

目次

iPhoneが水没したらすぐに行うべき対処法

すぐに電源をオフにする

iPhoneが水没したら、まず最初に行うべきなのが「電源をオフにする」ことです。

水没したiPhoneの電源が入ったままだと、内部で電気が流れることでショートを起こし、基板などの重要な部品が破損してしまう可能性があります。

電源ボタンを長押しして「スライドで電源オフ」を表示させ、電源を切りましょう。
もし画面が反応しない場合は、無理に操作せず次のステップに進んでください。

水没によってすでに電源が切れている場合は、そのまま電源を入れないようにしましょう。

水没の状況によっては、電源が勝手に落ちることもあります。この場合も、決して電源を入れようとしないでください。
内部に水分が残ったままの状態で電源を入れると、ショートして故障の原因になります。

アクセサリー類を取り外す

電源をオフにしたら、次はiPhoneに接続されているアクセサリー類をすべて取り外しましょう。
ケースやカバー、イヤホン、充電ケーブルなど、取り外せるものはすべて外します。

特にケースやカバーは水分を溜め込みやすいので、すぐに外してください。
水分が溜まったままだと、iPhoneの内部に水が侵入してしまう可能性が高まります。

また、充電ケーブルが接続されたままだと、電気が流れてショートの原因になることもあるので必ず取り外してください。

アクセサリー類を外すことで、iPhoneの乾燥効率が上がり、水分が内部に侵入するリスクを減らすことができます。

水分をしっかり拭き取る

iPhoneの水分を柔らかい布で丁寧に拭き取っている様子アクセサリー類を外したら、iPhoneの表面についた水分をしっかり拭き取りましょう。

拭き取る際は、柔らかい乾いた布やタオル、ティッシュなどを使用してください。

特に注意が必要なのは、充電ポート、スピーカー、マイク部分など、水が溜まりやすい場所です。

これらの部分は、ティッシュを細く丸めて軽く押し当てるようにして水分を吸い取りましょう。

ただし、充電ポートに綿棒やティッシュを無理に押し込むのはやめてください。
コネクタのピンが曲がってしまう可能性があります。

iPhoneを軽く振って水を出そうとする方もいますが、これは逆効果です。振ることで内部に水が広がってしまう可能性があるので、絶対にやめましょう。

SIMカードを取り出す

水分を拭き取ったら、SIMカードを取り出しましょう。

SIMカードトレイの小さな穴にSIMピンを差し込んで取り出します。
SIMカードトレイも水が溜まりやすい場所なので、取り出して内部の水分を拭き取ることが重要です。

SIMカード自体も水に弱いので、取り出したらきちんと乾かしましょう。SIMカードは精密部品なので、強くこすらずに柔らかい布で優しく水分を拭き取ってください。SIMカードトレイの内側も同様に水分を拭き取りましょう。

SIMカードを取り出すことで、水分が蒸発する経路を作り出すことができます。

iPhoneを乾かす正しい方法

水没したiPhoneの表面の水分を拭き取ったら、次は内部の水分をしっかり乾かす必要があります。ここでは、iPhoneを正しく乾かす方法について詳しく解説します。

乾燥剤と一緒に密閉容器に入れる

iPhoneを乾かす最も効果的な方法は、乾燥剤と一緒に密閉容器に入れることです。シリカゲルなどの乾燥剤があれば理想的ですが、ない場合は生米でも代用できます。
米は湿気を吸収する性質があるため、緊急時の乾燥剤として使えます。

ジップロックなどの密閉できる袋や容器に乾燥剤(または米)を入れ、その中にiPhoneを入れます。
このとき、iPhoneと乾燥剤が直接触れるようにしましょう。

容器のサイズはiPhoneがちょうど入る大きさが理想的です。あまり大きすぎると乾燥効率が下がります。

密閉容器に入れたら、涼しく乾燥した場所に置いて、最低でも24〜48時間放置しましょう。Apple公式では最低5時間の乾燥を推奨していますが、より確実に乾燥させるためには24時間以上置くことをおすすめします。

自然乾燥させる場合の注意点

乾燥剤がない場合は、自然乾燥させることもできます。その場合は、風通しの良い乾燥した場所に置いて、自然に乾くのを待ちましょう。

自然乾燥させる場合も、最低24時間は放置することが重要です。見た目は乾いていても、内部にはまだ水分が残っている可能性があります。焦って早く使おうとせず、しっかり時間をかけて乾かしましょう。

また、直射日光の当たる場所や暖房器具の近くなど、高温になる場所での乾燥は避けてください。

高温はiPhoneの内部部品にダメージを与える可能性があります。涼しく乾燥した場所で自然に乾かすのがベストです。

乾燥後の電源投入

十分に乾燥させたら、慎重に電源を入れてみましょう。このとき、充電ケーブルは接続せず、電源ボタンだけで起動させてください。もし正常に起動すれば、ひとまず安心です。

起動後は、タッチスクリーンの反応、スピーカー、マイク、カメラなど、各機能が正常に動作するか確認しましょう。また、バッテリーの減りが早くなっていないか、本体が熱くなっていないかなどもチェックしてください。

正常に動作するようであれば、大切なデータのバックアップを取ることをおすすめします。水没から復活したiPhoneは、後日突然故障することもあるため、早めにデータをバックアップしておくことが重要です。

絶対にやってはいけない3つのNG行動

水没したiPhoneを復活させるためには、正しい対処法を知るだけでなく、「やってはいけないこと」を知ることも重要です。

間違った対応をすると、修復できたはずのiPhoneが完全に故障してしまうことがあります。ここでは、水没したiPhoneに対して絶対にやってはいけない3つのNG行動を紹介します。

NG①:すぐに充電する

水没したiPhoneに充電ケーブルを挿そうとしている様子に禁止マークがオーバーレイされた画像水没したiPhoneをすぐに充電するのは最も危険な行為の一つです。

内部に水分が残っている状態で充電すると、電気が流れてショートを起こし、取り返しのつかない故障につながる可能性があります。

「バッテリーが切れてしまうから」と焦って充電してしまうケースが多いですが、バッテリーが切れても内部のデータが消えることはありません。データを守るためにも、しっかり乾燥させてから充電することが重要です。

また、ワイヤレス充電も同様に危険です。充電ケーブルを使わないからといって安全というわけではありません。内部に水分が残っている状態での充電は、どのような方法であっても避けるべきです。

当店にも「水没したiPhoneを充電したら、電源が入らなくなった」というご相談が数多く寄せられます。

水没したら、最低でも24時間は充電を避け、しっかり乾燥させてから充電するようにしましょう。

NG②:ドライヤーで乾かす

水没したiPhoneをドライヤーで乾かそうとする方も多いですが、これは絶対にやめましょう。

ドライヤーの熱風はiPhoneの内部部品にダメージを与える可能性があります。
特にバッテリーは熱に弱く、最悪の場合、膨張や発火の危険性もあります。

また、ドライヤーの風圧で水分がiPhone内部の奥へ押し込まれてしまうこともあります。表面は乾いても、内部の水分はむしろ広がってしまい、状況を悪化させることがあります。

Apple公式でも「高温の熱源でiPhoneを乾かさないでください」と明記されています。ドライヤーだけでなく、電子レンジ、オーブン、ストーブなど、熱を発する機器での乾燥は絶対に避けましょう。

正しい乾燥方法は、前述したように乾燥剤と一緒に密閉容器に入れるか、風通しの良い場所で自然乾燥させることです。焦らず、時間をかけて乾かすことが大切です。

NG③:本体を振って水切りする

水没したiPhoneを振って水を出そうとする方も多いですが、これも避けるべき行為です。

振ることで、表面の水は確かに落ちるかもしれませんが、同時に内部の水分がより広範囲に広がってしまう可能性があります。

水没したiPhoneは、優しく扱うことが重要です。振ったり、叩いたりせず、柔らかい布で表面の水分を拭き取り、自然に乾燥させましょう。

水没後に充電できない場合の対処法

水没から復活したように見えても、充電ができないというトラブルはよくあります。ここでは、水没後にiPhoneが充電できない場合の対処法を解説します。

充電ポートの再確認

水没後にiPhoneが充電できない場合、まずは充電ポートに水分や異物が残っていないか確認しましょう。

充電ポートは水が溜まりやすい場所なので、完全に乾いていないことがあります。

LEDライトなどで充電ポートの中を照らし、水分や異物がないか確認してください。

もし水分が見える場合は、さらに乾燥させる必要があります。また、充電ポートにホコリやゴミが詰まっていることもあるので、確認してみましょう。

ただし、充電ポートを掃除する際は、ピンセットや金属製の道具は使わないでください。充電端子が曲がったり、傷ついたりする可能性があります。エアダスターなどで優しく吹き飛ばすか、専門店に相談するのが安全です。

別の充電ケーブルを試す

充電ポートに問題がなさそうなら、別の充電ケーブルを試してみましょう。水没の影響で充電ケーブルが故障している可能性もあります。また、充電器(アダプター)も変えてみると良いでしょう。

純正の充電ケーブルと充電器で試すのが理想的です。サードパーティ製の充電アクセサリーは相性の問題が生じることもあります。
複数の組み合わせを試して、充電できるかどうか確認してみましょう。

それでも充電できない場合は、充電ポートが水没によって損傷している可能性が高いです。その場合は、次に紹介するワイヤレス充電を試すか、専門店に修理を依頼することを検討しましょう。

ワイヤレス充電を試す

iPhone 8以降のモデルは、ワイヤレス充電に対応しています。充電ポートが損傷していても、ワイヤレス充電なら使える可能性があります。

ただし、ワイヤレス充電を試す前に、iPhoneが完全に乾いていることを確認してください。

内部に水分が残っている状態でワイヤレス充電すると、ショートの原因になる可能性があります。最低でも水没から24時間以上経過してから試すようにしましょう。

ワイヤレス充電でも充電できない場合は、バッテリーや基板などの内部部品が水没によって損傷している可能性があります。その場合は、専門の修理店に相談することをおすすめします。

水没したiPhoneの修理はプロに相談しよう

自分で対処しても改善しない場合や、重度の水没の場合は、専門の修理店に相談することをおすすめします。ここでは、水没したiPhoneの修理について解説します。

Apple Storeでの修理

水没したiPhoneの修理先としてまず考えられるのがApple Storeです。Apple Storeでは、水没したiPhoneの修理も受け付けています。ただし、水没はAppleCare+でも特別料金が発生します。

AppleCare+に加入している場合、水没などの「過失や事故による損傷」として修理が可能ですが、別途修理代金がかかります。
AppleCare+に加入していない場合は、より高額な修理費用が発生します。

また、Apple Storeでの水没修理は、多くの場合「本体交換」となります。

つまり、今使っているiPhoneが戻ってくるのではなく、新しい(または再生品の)iPhoneと交換になります。そのため、バックアップを取っていないデータは失われてしまう可能性が高いです。

データ復旧を優先するなら専門修理店へ

バックアップを取っていないデータがある場合や、データの復旧を優先したい場合は、Apple Storeやキャリアショップではなく、専門の修理店に相談することをおすすめします。

当店のようなiPhone修理専門店では、本体交換ではなく、水没した部品のみを修理・交換することができます。
そのため、iPhoneに保存されているデータを残したまま修理できる可能性が高まります。

特に、写真や連絡先、メッセージなどの大切なデータがバックアップされていない場合は、データ復旧に強い専門店を選ぶことが重要です。

ただし、水没から時間が経過するほどデータ復旧の難易度は上がるため、できるだけ早く相談することをおすすめします。

当店では、水没したiPhoneからのデータ復旧も承っております。「大切なデータを残したい」というお客様は、ぜひお気軽にご相談ください。

iPhoneの水没を防ぐための予防策

最後に、iPhoneの水没を防ぐための予防策について解説します。日頃から対策を行うことで、水没のリスクを大幅に減らすことができます。

防水ケースの活用

最新のiPhoneモデルには防水機能が搭載されていますが、完全防水ではありません。
より確実に水没を防ぐためには、防水ケースの使用をおすすめします。

特に、海やプールなどの水辺で使用する場合や、雨の日の屋外での使用が多い場合は、防水ケースがあると安心です。IPX7以上の防水等級を持つケースを選ぶと良いでしょう。

また、防水ケースは水没だけでなく、砂や埃からもiPhoneを守ってくれるので、アウトドアでの使用時にも役立ちます。

水辺での使用を避ける

最も確実な水没予防策は、水辺でのiPhone使用を避けることです。
お風呂や洗面所、キッチンなど、水を使う場所でのiPhone使用は、水没リスクが高まります。

特にお風呂での使用は要注意です。最新のiPhoneは防水機能を備えていますが、高温のお湯や湯気は防水シールを劣化させる原因になります。
また、石鹸や入浴剤などの化学物質も防水性能に悪影響を与える可能性があります。

どうしても水辺で使用する必要がある場合は、防水ケースを使用するか、使用後にしっかりと乾燥させるようにしましょう。

定期的なバックアップの実施

万が一の水没に備えて、定期的にiPhoneのデータをバックアップしておくことが重要です。iCloudやiTunes(Finder)を使ったバックアップを定期的に行うことで、水没などのトラブルでデータが失われても、復元することができます。

iCloudバックアップは自動で行われますが、設定が必要です。「設定」→「Apple ID」→「iCloud」→「iCloudバックアップ」でオンにしておきましょう。また、十分なiCloudストレージがあることも確認してください。

iTunesやFinderを使ったバックアップは、パソコンに接続して手動で行います。iCloudよりも完全なバックアップが取れるので、定期的に行うことをおすすめします。

まとめ:水没したらすぐに適切な対応を

iPhoneの水没は、適切な対応をすれば復活する可能性があります。水没したら、まずは電源をオフにし、アクセサリー類を外して、表面の水分をしっかり拭き取りましょう。

そして、乾燥剤と一緒に密閉容器に入れるか、風通しの良い場所で自然乾燥させます。

絶対にやってはいけないのは、すぐに充電する、ドライヤーで乾かす、本体を振って水切りするといった行為です。これらは状況を悪化させる可能性があります。

自分で対処しても改善しない場合や、データの復旧を優先したい場合は、専門の修理店に相談することをおすすめします。当店では、水没したiPhoneの修理やデータ復旧も承っております。

また、日頃から防水ケースの使用や水辺での使用を避けるなどの予防策を講じることで、水没のリスクを減らすことができます。さらに、定期的なバックアップを行うことで、万が一の際にもデータを守ることができます。

水没は焦りがちですが、冷静に適切な対応をすることが、iPhoneとデータを救う鍵となります。この記事が、皆様のiPhone水没トラブルの解決の一助となれば幸いです。

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